Record of Wakayama

和歌山県内の町並み、レトロな商店街、歴史的建築、観光スポットを写真と共に記録しています。地域の今と昔を歩いて感じる“和歌山まち歩き”ブログです。

【湯浅の甚風呂】昭和の銭湯跡を見学|伝建地区の路地裏に残るレトロ空間れ

湯路地裏に残された昭和の銭湯跡「甚風呂」へ

 

湯浅の町並みに溶け込むように、ひっそりと佇む「甚風呂(じんぶろ)」という建物をご存知でしょうか。

北町通りの伝統的建造物が並ぶ一角から、細い路地を曲がった先に、その独特な佇まいはあります。

あまりに印象的だったため、北町通りの記事とは別に、この“路地裏の記憶”を一つの記事に残すことにしました。

甚風呂の場所

伝建地区から路地に入った場所にある甚風呂。

周辺には案内看板が大きく、迷う事なくたどり着けます。

 

今回は北町通りから『甚風呂』に向かいます。

私はこの道が好きで甚風呂に向かう際には必ず通ります。

奥の昔ながらの建物が密集した場所が甚風呂ですね。

 

こちらは湯浅伝建地区の下新町。

公衆浴場 甚風呂

甚風呂の歴史

甚風呂は嘉永年間(1848~53年)以前に開業し、昭和60年(1985年)まで

営業していた公衆浴場である。

銭湯の正式な名称は『戎湯』ですが、経営者の方が『甚さん』と呼ばれていた事で

次第に『甚風呂』と親しみを込めて呼ばれるようになったとか。

現在は銭湯跡を利用した民族資料館となっている。

路地に佇む甚風呂

浴場は大正15年(1926年)に一部改築されているようだ。

通りに面した塀は非常に凝っており、大正時代の雰囲気が残る。

 

私個人の感想なのですが、やはり路地に甚風呂があるのが一番の魅力ではないだろうか。

これが大通りに面していても貴重な建物に違いないが、魅力は半減していたのかもしれない。

さらに周りのロケーションも抜群にいい。

見まわしてみても近代的な建物は皆無。

まるでタイムスリップしたかのような感覚に陥ります。

甚風呂の営業情報

開館時間 9:30〜16:30

休館日  水曜日(水曜日が祝日の場合はその翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)

入館料  無料

 

暖簾をくぐり、甚風呂内を見学させていただく。

特に誰かが入り口にいるわけではなく、自由に入って見学するスタイルだ。

手前の戸が男湯で、奥の戸が女湯なのだが、現在は関係なくどちらから入っても大丈夫です。

すごく静まり返っていて、入りにくいですが後にそんな心配はなくなります。

 

甚風呂の中へ

戸を開けて中に入ると、まず目に入るのがこちらの下駄箱。

ここで靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて見学します。

 

二つの戸の間には番台があります。

ここにも誰もおらず自由に見学します。

ですが主屋に進むとおばちゃんが常駐しており、甚風呂の事や、その他の展示物について

詳しく説明してくれます。

『番台にも座ってみてくださいね。』と言ってくださったが、1人でここに座る勇気はありませんでした。

甚風呂の脱衣室で気になった物

パッと目に入ったのがレトロなマッサージチェア。

私が子供の頃に祖父母の家に似たような物があったので、非常に懐かしく感じた。

こちらは展示物なので座ったりはできないと思う。

 

こちらが『戎湯』の暖簾。

色褪せた感じや汚れが歴史を感じます。

現在は『甚風呂』と書かれた暖簾がかけられています。

番台からの眺め(擬似)

番台に座る事は断念したが、せめて番台からの眺めだけでもと

番台に座った感じに撮影してみました。

本来なら目線はもっと高くなります。

上が男湯、下が女湯です。

当時はもちろん男湯と女湯の間には仕切りがありました。

 

脱衣所と聞きましたが、脱いだ服は何かカゴにでも入れていたのでしょうか?

そんな事を聞いておけば良かったと、ブログを書きながら思いました‥

 

甚風呂の見学には順路がありまして、男湯から入り、奥の建物の様々な展示物を見たのち

女湯から出てくるルートになります。

いよいよ甚風呂の浴場内に

まずは男湯から。

浴場内はこんな感じになっています。

仕切りの壁には古い映画のポスターが貼られていました。

 

私にはあまり馴染みない映画のポスターですが、分かる方にはとても懐かしい物ではないでしょうか。

昭和30年代に放映された時の物らしいです。

当時は脱衣所に貼られていました。

ポスター下部にはユアサ旭劇場の文字。

かつては湯浅駅近くに、この旭劇場があったようです。 

 

浴槽はこんな感じに。

ここでほとんどの方が違和感に気づくと思います。

右側の浴槽が深いんじゃないかと。

実は甚風呂は立ち湯(たったまま入浴する)の構造になっています。

隣の浅い浴槽は子供用になっています。

 

甚風呂 主屋の古民具展示室へ

男湯を通り抜けると、次は甚風呂の主屋に入ります。

ここには昔に使われていた家電や、農具、家財道具など歴史ある物が展示されています。

そして、これらは湯浅住民から寄贈された物なんです。 

 

こちらの振り子時計の6の下にMADE IN JAPANの文字が小さく書いていますが、

写真では見にくいかと思いますが,Nが反対になっています。

 

この様に懐かしい家電なんかも展示されています。

2階にも上がれて、そちらにも色々な展示がされています。

 

湯札募金

湯浅重要伝統的建造物群保存地区の保存活動には資金が必要です。

主屋内に募金箱が置かれており、200円以上の募金でこちらの湯札のレプリカ

キーホルダーをいただけます。

甚風呂では、かつて冠婚葬祭の際に、近所でお手伝いいただいた方に湯札(入浴券)を配り、その日の労を労ったそうです。

 

こちらが現存する甚風呂の湯札(入湯券)

おばちゃんが言うには、レプリカは少し大きすぎたと言っていました。

た、たしかに。

私も募金し、レプリカ湯札をいただきました。

 

甚風呂のボイラー室

甚風呂では最初の頃は、薪やおが屑でお湯を沸かしていたので焚口が残っています。

焚口の周りは防火のためレンガが積まれています。

写真ではギリギリ見切れてますが‥

のちに重油ボイラーに切り替わりました。

 

こちらは循環ろ過器。

大量のお湯を使う為、流してしまうの勿体無いので、こちらでろ過して利用していたそう。

 

これは以前、甚風呂を訪れた時の写真だと思うのですが‥

 

甚風呂 女湯

女湯も基本的には男湯と同じ構造で、こちらにもレトロな広告看板などが残されています。

 

 

 

浴室内の壁に掛かっている『広告看板』

今は合併でなくなってしまった、湯浅信用金庫の広告看板。

左上のノブを回すと、休みを表示できるようになっています。

こういう昔の看板ってすごく魅力ありますよね。

 

甚風呂まとめ

これにて甚風呂の紹介は終わりです。

路地にひっそりと佇む「甚風呂」は、湯浅という町の暮らしと記憶を今に伝える貴重な場所でした。

今では資料館として静かに時を刻んでいますが、番台から見える景色や浴槽、脱衣所の空気など、当時の営みを想像することで、かつての賑わいがほんの少し感じられる気がします。

湯浅の町並みを歩く際は、ぜひこの「路地裏の記憶」にも足を運んでみてください。

おまけの甚風呂周辺のオススメ

甚風呂の近くにある、文房具や駄菓子を扱うお店。

現在は営業していないようですが、昔ながらの町並み、路地、三菱鉛筆のレトロな看板

これは写真を撮りたくなるシチュエーションです。

今回は甚風呂を背に撮りましたが、甚風呂をバックに撮るのも良いですよ。

 

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最後に2014年頃撮影の一枚。

子供が小さい頃に、こちらで駄菓子を買った記憶があります。

路地にある駄菓子屋なんて憧れるなぁ。

 

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