地球が長い年月をかけて生み出した、不思議な岩のアート南紀熊野ジオパーク『保呂の虫喰岩』
保呂の虫喰岩とは?
和歌山県西牟婁郡白浜町保呂にある「保呂の虫喰岩(むしくいいわ)」をご存知でしょうか?
保呂の虫喰岩は幅約30m、高さ20mの岩壁に多数の穴があいており、なんとも不思議な光
景が広がる場所です。
岩の表面には大小さまざまな穴があいており、まるで虫が食べたかのように見えることから『虫喰岩』と呼ばれています。
今回は南紀熊野ジオパークに登録されている、保呂の虫喰岩を訪ねてきました。
アクセスはやや分かりにくいものの、近くには同じく南紀熊野ジオパークの『田中神社』や『富田川の潜水橋』もあり、ゆったりとした時間が流れる里山の風景とともに紹介していきたいと思います。
ジオパークとは?
地形とか地層とか、そういった“地球の歴史”を感じられるエリアのこと。
しかも、そこに暮らす人の文化や暮らしなんかも含めて見ていこう、というのがジオパークの考え方みたいです。
地質の専門知識なんてなくても、ただそこに立つだけで“地球の物語”を感じられる場所とでも言えばよいでしょうか。
保呂の虫喰岩の場所
少しわかりにくい場所にあり、駐車場もありません。
保呂の虫喰岩の入り口辺りが少し道が広くなっているので、近隣の方の迷惑にならないよう少し停めさせていただきました。
保呂の虫喰岩への入り口
こちらから『保呂の虫喰岩』に向かいます。
ジオパークがある場所には案内板があるので、まずは案内板に目を通しておきましょう。
今回訪れたのが6月末。
紫陽花が綺麗に咲いていました。
黒い羽の妖精?ハグロトンボとの遭遇
案内板を読んでいると、まわりを飛び回る真っ黒な翅のトンボ。
翅が黒いことから『羽黒トンボ』と呼ばれています。
日本国内では、東北、本州、四国、九州に分布しますが、一部地域では絶滅危惧種になっているようです。
飛び方も他のトンボとは違い素早く飛び回ったり、ホバリングしたりせずに、チョウのようにヒラヒラと舞うような感じ。
留まっている時も、写真のように翅を立てて留まり、時折りゆっくり翅を開いてすぐ閉じるといった行動をする。
また、ハグロトンボは神様の使いともされ、縁起の良い存在と考えられているそうです。
階段を上り、いよいよ保呂の虫喰岩に
階段がありますが、段数はたいしたことないので、体力に自信がなくても大丈夫です。
大日堂
保呂の虫喰岩の近くには、大日如来をおまつりした大日堂があります。
この地域の方々は大日堂で、病気の回復や、農耕を手伝う牛の健康と安全を祈ったそうです。
無数にあいた穴だらけの岩『保呂の虫喰岩』
大日堂の横にあるのが、南紀熊野ジオパークの一つ『保呂の虫喰岩』
なんだか虫の巣を連想させるような見た目で、苦手な人もいるかも。
和歌山にはもう一つ、古座川町にも『高池の虫喰岩』という似たような岩があります。
そちらはさらに規模が大きく、アクセスや整備も整っているため、観光としては高池の方が訪れやすい印象でした。
穴の名はタフォニ
虫に食われたような不思議な見た目の正体は、“タフォニ”と呼ばれる自然現象。
これには様々な説があるようです。
その一つに塩分の再結晶により岩の表面が剥がれ落ちるという説があります。
①岩の小さな隙間に塩分を含んだ水がはいる。
②水分が蒸発して小さな隙間に塩が結晶ができる。
③結晶が大きくなり、岩の表面が剥がれて穴があく。
④①〜③を繰り返し穴が大きくなる。
長い年月をかけて作り出した地球の造形美ですね。
この岩の表面は、よく見ると砂の粒が見られる。
手で触るとパラパラと砂の粒が剥がれ落ち、この砂を体のできものに塗ると病気が治ると
いう言い伝えがあるようです。
※実際に触らず、見るだけにしましょう。
最後に
数年前まで私はジオパークなんて知りませんでした。
偶然訪れた、串本町にある『サラシ首層』で初めてジオパークの存在を知りました。
以来少しずつジオパークについて調べ、足を運ぶように。
派手な観光スポットとは違いますが、静かな自然の造形美にふれる体験として、きっと印象に残ると思います。
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